ついに開幕した、世界陸上2017ロンドン大会。
今回の男子100mは初日から予選がスタート。今大会で引退を表明している生ける伝説、ウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)に世界の視線が集まっている。
有終の美を飾るかのごとく、金メダルを掴み、世界記録のおまけまでも導くのか、はたまた、最後の最後で、敗北を喫するのか。
ここまで何年にも渡り、陸上界の人気を牽引、スポーツ界全体にとっても「世界最速」の名をほしいままにし、圧倒的なカリスマ性を誇ったスーパースターの最期の時に、世界の目が釘付けになるのは当然だろう。
全6組、予選各組3位までとタイム上位6名が準決勝に進む今回の予選。
注目のウサイン・ボルト選手が出場した最終第6組目、いつもながらにスタートからゆっくり目に加速したように見えたボルト選手は、最終的に9秒台には届かなかったものの、1着10秒07のタイムでなんなくゴールラインを追加し、順当に準決勝へ。
「史上最速・日本短距離陣」と呼ばれる日本男子3選手(サニブラウン・ハキーム選手、多田修平選手、ケンブリッジ・飛鳥選手)も、それぞれ準決勝に進出。日本選手権の覇者、サニブラウン選手にいたっては、全体6位となる10秒05をマーク。これは本人の自己ベスト記録でもある。
また、世界陸上、オリンピックを通して、参加した日本人3選手ともに準決勝に進んだのは、史上初の快挙とのこと。
日本短距離界にとっては、前回のリオオリンピック2016での4×100mリレー銀メダルの手応ええから、「今回はついに、リレーでの金」という快挙達成に向けては幸先の良いスタートを切ったように見える。
今回の100m。
こうしてみると、最後の勇姿となるウサイン・ボルト選手、長年のライバルとなる、短距離王国アメリカの復権を成し遂げたいジャスティン・ガトリン選手(アメリカ)、それに加えて、国内では日本の3選手の決勝進出と初の9秒台に注目が集まるという、大会初日の予選から、これまでにないくらい、見どころ満載の種目となった。
しかし、せっかく世界の最速を、世界が注目する舞台で競う、世界陸上の場。これだけで終わるのはもったいない気がする。
そこで今回の100mをより盛り上げてくれそうな選手を紹介したい。
一人目は、予選を1位追加したジャマイカのJulian Forte(ジュリアン・フォート)選手。
現在24歳の彼は今年9秒台スプリンターの仲間入りをしたばかりで、予選初日から、予選6組中唯一の9秒台、そして、自己タイでの9秒台で予選トップ追加。
最後まで他の選手と並走する姿を見る限り、余裕の走りという印象まではいかないものの、リラックスした状態で走り終え、準決勝での活躍はまだまだ期待できる。
そして、もう一人注目したいのが、予選全体2位の10秒01を出したアメリカのChristian Coleman(クリスチャン・コールマン)選手。
実は彼、今季世界ランキング第1位の選手で、その記録は9秒90を切る、9秒82。
しかも、ジャマイカのフォート選手よりも若い、現在大学生である21歳の彼がこの記録を出したのは今年の6月のアメリカ国内大会でのこと。
つまり、世界が、そして、日本国内が注目をする選手たちの影で、これからの短距離界を背負っていくだろう、とんでもない可能性も持った若手選手たちが着実にそのポテンシャルの片鱗を見せつけ始めているのである。
ウサイン・ボルト選手の勇姿はもちろん楽しみにしながらも、もしかしたら、この大会で世代交代を象徴付けるレース展開、という結末も、ありえるかもしれない。
本日開催される100mの準決勝、そして、決勝が伝説的なものになることを期待したい。
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